陸軍武官進級令(明治22年勅令第61号)制定時の条文
陸軍武官進級令(明治22年勅令第61号)
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朕陸軍武官進級條例ヲ廢止シ陸軍武官進級令制定ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年五月六日
内閣總理大臣伯爵黒田清隆 陸軍大臣伯爵大山巖
敕令第六十一号
陸軍武官進級令
第一條 陸軍武官ノ進級ハ級ヲ逐テ歴進セシム又缺員ナキトキハ補除スルコトナシ
第二條 陸軍武官ハ實役停年最下期限ヲ超ユルニアラサレハ進級スルコトヲ得ス
第三條 實役停年最下期限ヲ定ムルコト左ノ如シ 二等軍曹ヨリ一等軍曹ニ進ムハ實役停年半年一等軍曹ヨリ曹長ニ進ムハ實役停年一年曹長ヨリ少尉ニ進ムハ實役停年二年 少尉ヨリ中尉ニ中尉ヨリ大尉ニ進ムハ實役停年各二年大尉ヨリ少佐ニ進ムハ實役停年四年 少佐ヨリ中佐ニ進ムハ實役停年三年中佐ヨリ大佐ニ大佐ヨリ少將ニ進ムハ實役停年各二年 少將ヨリ中將ニ進ムハ實役停年三年 中將ヨリ大將ニ進ムハ歴戰者ニ就キ特旨ヲ以テ親任スルヲ例トシ最下期限ヲ定ムルコトナシ
第四條 戰時ニ在テハ各官ノ實役停年ヲ其半ニ減スルコトヲ得
第五條 休職停職ノ年月ハ實役停年ニ算入セス但敵ノ捕虜トナリ休職ニ入ル者正當ノ理由アルトキハ其年月ヲ實役停年ニ算入スルコトヲ得
第六條 陸軍武官進級ノ法二アリ一ヲ停年補除トシ一ヲ抜擢補除トス
第七條 停年補助トハ實役停年最下期限ヲ超エタル順次ニ依リ進級セシムルヲ云ヒ抜擢補除トハ實役停年最下期限ヲ超エタル者ニ就キ抜擢進級セシムルヲ云フ其區別左ノ如シ 二等軍曹ヨリ一等軍曹ニ一等軍曹ヨリ曹長ニ進ムハ皆抜擢トス 少尉ヨリ中尉ニ進ムハ停年三分二抜擢三分一トス 大尉ヨリ少佐ニ少佐ヨリ中佐ニ中佐ヨリ大佐ニ進ムハ皆抜擢トス
第八條 將校ハ職權ニ依テ部下ヲ抜擢スルノ權ヲ有ス但直屬長官アル者ハ其監督ノ下ニ在テ之ヲ行フ
第九條 將官ノ進級及將官ニ進級スルハ上裁ニ出ルト雖モ先ツ内旨ヲ陸軍大臣ニ諭スヲ例トス
第十條 曹長ノ少尉ニ進級スルハ特例トス此選ニ當ルヲ得ル者ハ功績抜群ニシテ士官タルノ學力ヲ有スルモノニ限ル
第十一條 陸軍大臣ハ毎年將校ノ實役停年名簿ヲ作リ之ヲ奏上スヘシ
第十二條 將校ノ抜擢進級候補ハ上裁ニ出ルモノトス陸軍大臣ハ上旨ヲ奉シテ決定候補名簿ヲ調製スヘシ
第十三條 下士ノ進級候補ハ師團長及之ト同等以上ノ權アル長官並ニ會計局長醫務局長之ヲ裁決シテ決定候補名簿ヲ調製スヘシ
第十四條 決定候補名簿ハ其調製ノ日ヨリ次年決定候補名簿調製ノ日迄之ヲ用ユヘシ
第十五條 左ノ場合ニ在テハ前諸條ノ例ニ依ラス進級セシムルコトヲ得 一 敵前ニ在テ殊勲ヲ奏シ首將之ヲ全軍ニ布告セシ者 二 敵前ノ軍隊ニ在テ人員缺乏シ補除定規ヲ履ム能ハサルトキ
第十六條 興軍ノ日ニ方リテ戰地ニ臨ムノ首將ニハ特ニ進級補除ノ權ヲ假スコトアルヘシ
第十七條 將校相當官並ニ軍吏部衞生部ノ下士及砲兵火工長砲兵火工下長ノ進級ハ本令ヲ適用ス 軍樂部准士官下士砲工兵監護騎砲兵諸工長騎砲兵諸工下長ノ進級ハ別ニ定ムル所ニ依ル